【脳震盪が起こった時の対処方法】早期判断と適切対応が命を守る

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カラダの説明書 緑橋の春藤謙介です。
サッカーやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツでは、「頭を打った」「ぶつかった」という場面は珍しくありません。
その中でも特に注意すべきなのが「脳震盪(のうしんとう)」です。
脳震盪は軽いケガと誤解されがちですが、対応を間違えると命に関わる重大な障害を残すリスクもあります。
この記事では、脳震盪の正しい理解と、現場での初期対応、復帰までのプロセスを解説していきます。

脳震盪とは何か?なぜ怖いのか?
脳震盪という言葉は知っていても、それが具体的にどういうものなのかを知っている方は多くありません。
ここからは脳震盪について詳しく解説していきます。
脳震盪は「脳の揺れ」による機能的な障害
脳震盪とは、頭部への衝撃により脳が一時的に機能障害を起こす状態です。
脳そのものに明確な損傷が見られないことも多いため、CTやMRIでは異常が映らない場合もあります。
しかし、以下のような症状があれば、脳震盪が疑われます。
・一時的な意識喪失(数秒~数分)
・頭痛、めまい、吐き気
・記憶障害(プレー中の記憶が飛ぶ)
・集中力低下、混乱
・光や音に敏感になる
これらの症状は数時間以内に現れることが多いですが、数日遅れて出てくるケースもあるため油断は禁物です。
軽く見てはいけない「セカンドインパクト症候群」
脳震盪を甘く見て、症状が回復しきらないうちに運動を再開してしまうと、非常に危険な状態になることがあります。
その代表が「セカンドインパクト症候群」です。
これは、1回目の脳震盪の後に、2回目の衝撃が加わることで脳が急激に腫れ、命を落とす危険がある症状です。
特に10代〜20代の若年層に多く報告されており、スポーツ事故として世界中で問題になっています。
再発を防ぐためにも、「軽いから大丈夫」と自己判断せず、確実に専門医の診断を受けることが大切です。
頭痛だけでは判断できない
脳震盪の判断を難しくするのは、「見た目に異常がないこと」と「本人の訴えが曖昧なこと」です。
特に子どもや10代の選手では、違和感をうまく言語化できずに、「大丈夫」と言ってプレーを続けてしまうことが多く見られます。
以下のような症状があれば、たとえ頭痛がなくても脳震盪の可能性を疑うべきです。
・視線が定まらない
・言葉がゆっくり・おかしい
・歩き方がふらついている
・表情がぼんやりしている
「いつもと違う」と感じたら、迷わず運動を中止させ、観察・対応に移ることが重要です。

脳震盪が疑われるときの対応とその後の流れ
では症状や後遺症が怖い脳震盪が起こった場合、どのような対応を取れば良いのでしょうか?
まずはその場でのプレーを中止する
選手が頭部を打った、あるいは相手と激しく接触した場面を見たら、すぐにプレーを止めましょう。
そして以下のようなポイントをチェックします。
・意識があるか?(呼びかけに答えるか)
・質問に答えられるか?(場所・日付・相手チームなど)
・ふらつきやバランスの崩れがないか?
1つでも異常があれば、その場での復帰は絶対NGです。
たとえ「大丈夫」と言っていても、本人が正しい判断をできていないケースも多くあります。
現場では「すぐに運動をやめさせて、安全な場所で安静にする」のが第一の対応です。
保護者・指導者・医療機関に速やかに連絡
頭部を打ったあとは、症状がなくても、早めに保護者や監督、医療従事者に報告することが必要です。
・保護者には「頭部をぶつけたこと」「意識の変化があったか」を詳細に伝える
・チーム内で脳震盪の対応マニュアルを共有しておく
・病院では、スポーツ外傷に詳しい整形外科・脳神経外科を受診する
「何科を受診すればいいかわからない」という場合は、まず救急外来または整形外科に相談し、そこから適切な科へ案内してもらうのが良いでしょう。
特に以下のような症状がある場合は、すぐに救急要請が必要です。
・意識が戻らない
・嘔吐が繰り返される
・けいれんが起こる
・手足が動かない、しびれる
迷ったら「念のため受診」くらいの慎重さがちょうどいいと思ってください。
脳震盪後の「復帰プラン」は段階的に
脳震盪の症状が軽くても、回復には段階的なアプローチが必要です。
医学的には以下のような「ステップ式」の復帰プロトコルが用いられています。
1.症状が完全に消失(数日~1週間)
2.軽い有酸素運動から再開(例:ウォーキング)
3.軽めのスポーツ動作(例:ジョギング・パス練習)
4.通常練習への復帰
5.試合復帰
この間に症状が再発したら即中止・再検査が原則です。
焦らず、体と脳の両方の回復を待つことが、長期的な健康とパフォーマンス維持につながります。

最後に
脳震盪は「軽く見られがち」な一方で、正しく対処しないと命や将来に関わるリスクを伴う重大な症状です。
・頭部の接触があれば、まずは「プレー中止」と「症状確認」
・少しでも異常があれば、専門医に相談し復帰まで段階を踏む
・「大丈夫だろう」は禁物。迷ったら慎重に動くことが鉄則
子どもや選手の健康を守るためには、保護者や指導者の“知識と判断力”が何よりも大切です。
整体やトレーニングで体を整えるのと同じように、「脳を守る」意識を現場全体で持っていきましょう。
