【サッカーと突き指】その原因・対処・予防法を知っておこう

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カラダの説明書 緑橋の春藤謙介です。
サッカーは主に足を使うスポーツですが、実は「突き指」のケガも少なくありません。
ゴールキーパーはもちろん、フィールドプレーヤーでも、転倒時に手をついたり、相手選手やボールと手がぶつかったりして指を痛めることがあります。
「ただの突き指」と軽く考えて放置すると、関節の変形や慢性的な痛みに発展することもあります。
本記事では、突き指の原因から応急処置、復帰の目安、そして再発を防ぐための予防策まで、詳しく解説していきます。

サッカーにおける突き指の主な原因と仕組み
突き指が起こる原因は様々です。
サッカーのように足を使うスポーツでも起こることは十分にありえます。
ゴールキーパーに多い「指の過伸展」
サッカーの中でも特に突き指が多いのが、ゴールキーパーです。
シュートを止めるとき、強いボールが直接指に当たると、関節が通常の可動範囲を超えて反り返る「過伸展」が起こり、突き指になります。
特に、伸びてくるハイボールを指先で触った瞬間などに多く、関節に過度なストレスがかかります。
また、ボールが指の先端に当たると、関節を構成する靱帯が伸びたり、場合によっては骨に小さなヒビが入ることもあります。
フィールドプレーヤーも注意したい転倒や衝突
ゴールキーパー以外の選手も突き指になることがあります。
代表的なのは転倒した際に手を地面に強くついたときや、空中での競り合いで他の選手と手がぶつかってしまった場合です。
特に最近のジュニアやユース年代では、体格差による接触や予期せぬ接触プレーも多く、指のケガは意外と多いです。
転倒の瞬間、無意識に手をつく反射動作が原因で関節に強い衝撃がかかることが突き指につながります。
小さな靱帯損傷から脱臼や骨折まで
突き指は単なる「関節の腫れ」と考えられがちですが、その内部では靱帯損傷・腱損傷・関節包の損傷・骨折など、さまざまなパターンがあります。
中には、関節が外れる「脱臼」や、骨の端にある成長線が損傷する「成長期特有の骨折」も含まれています。
痛みや腫れが強い場合、または関節の動きに明らかな違和感がある場合は、突き指ではなく「脱臼や骨折」を疑い、早期に医療機関での診断が必要です。

突き指をしたときの対処方法と回復のポイント
ここからは突き指をした時の対処法について解説していきます。
受傷してすぐの対処が痛みの緩和や予後を良くするために重要になってきます。
まずは応急処置:「PEACE & LOVE」を実践する
突き指をした直後に大切なのは、最新の応急処置である「PEACE & LOVE(ピース アンド ラブ)」を実践することです。
これは、ケガの初期対応から回復までを包括的にサポートする考え方で、以下の2段階、計9つの要素で構成されています。
PEACE(ケガ直後の対応)
・P = Protect(保護)
患部を保護し、無理に動かさずに安静にします。
特にサッカー中の突き指では、まず練習や試合から離れて指を動かさないようにしましょう。
・E = Elevate(挙上)
腫れを抑えるために、指を心臓より高い位置に上げておきます。
椅子やクッションを使っても構いません。
・A = Avoid anti-inflammatory modalities(消炎処置の乱用を避ける)
消炎鎮痛薬(湿布や内服薬など)の使用をむやみに行うのは避けます。
炎症は自然治癒のために必要な反応であるため、過度に抑えると回復が遅れる可能性があります。
・C = Compress(圧迫)
包帯やテーピングで患部を軽く圧迫し、腫れを防ぎます。
ただし強く巻きすぎないよう注意が必要です。
・E = Educate(教育)
回復に関する正しい知識を本人や家族が持つことが大切です。
「いつから動かしていいのか」「どんな経過をたどるか」など、信頼できる医療者やトレーナーから説明を受けましょう。
LOVE(回復期に大切なこと)
・L = Load(負荷をかける)
痛みが落ち着いてきたら、段階的に指を動かし始めましょう。
完全な安静よりも、適切な負荷をかけることで回復が早くなります。
・O = Optimism(楽観性)
前向きな気持ちは回復を促進します。
「ちゃんと良くなる」と信じて、焦らずに治していきましょう。
・V = Vascularisation(血流の促進)
全身の血流を良くする軽い有酸素運動(ウォーキングなど)を取り入れることで、患部の回復にも良い影響が出ます。
・E = Exercise(運動)
関節可動域や筋力を回復させる運動を、段階的に行っていきましょう。
トレーナーや医療者の指導のもと、無理のない範囲からスタートします。
この「PEACE & LOVE」の考え方は、単に患部を冷やして安静にするだけではなく、正しい知識と心のケア、そして段階的な運動を通じて、より早く安全に回復を促すことを目的としています。
サッカーで突き指をしたときも、この最新の対応を意識して行動することで、より良い回復を目指せます。
早期の固定と無理のないリハビリ
応急処置後、腫れや痛みが強い場合は、整形外科で診断を受け、必要であればレントゲン撮影を行いましょう。
軽度の突き指であれば、固定期間はおよそ1〜2週間が目安です。
固定が長すぎると関節が硬くなるため、腫れや痛みが引いてきた段階で、専門家の指導のもと、徐々に可動域を広げていくリハビリを始めることが重要です。
無理に早く復帰しようとせず、段階的な運動再開を目指しましょう。
無理な復帰は長期化を招く
突き指を軽く見て、「痛みがあるけど出場したい」と練習や試合に戻る選手も多いですが、それがかえってケガを長引かせる原因になります。
靱帯や関節包が完全に治りきらないうちに再び強い力が加わると、慢性化したり、変形したまま固まったりすることもあります。
回復を焦らず、適切なプロセスを踏んでから復帰することが、長期的に見て一番の近道になります。

突き指を予防するためにできること
ではそんな突発的に起こることの多い「突き指」はどのようにして予防していくのでしょうか?
ゴールキーパーはテーピングやフィンガーセーブを活用
ゴールキーパーの突き指予防には、手指の保護が必須です。
近年ではフィンガーセーブ機能のついたグローブも普及し、指の過伸展を防ぐ役割を果たしています。
また、練習や試合前には指の関節にテーピングを施すことで、可動域をコントロールし、衝撃を分散させることが可能です。
正しい巻き方を知っておくことで、突き指のリスクは大きく下がります。
全選手に必要な「転倒時の動作訓練」
フィールドプレーヤーで突き指を経験する選手の多くが、「転倒したときに手をつく動作」でケガをしています。
そのため、転倒時にどう身体を丸めるか、どうやって手を地面に置かずに受け身をとるかという技術は、ケガ予防に非常に重要です。
柔道の受け身のように、身体の使い方をあらかじめ身につけることで、衝撃を和らげることができます。
日頃の柔軟性と筋力バランスの見直し
指のケガとはいえ、身体全体のコンディションは大きく関係しています。
例えば、転倒の原因が「バランス力の低下」や「足の筋力不足」であれば、指だけを守っていても意味がありません。
日頃から体幹や下肢の安定性、全身の協調性を高めておくことが、結果的に突き指の予防にもつながります。
最後に
サッカーにおける突き指は、軽く見られがちなケガですが、放置すると大きな問題につながるリスクがあります。
特にジュニア世代では、骨や関節がまだ未熟なため、見た目以上に重症であることも少なくありません。
ポイントは以下の3つです
・突き指をしたらすぐに「PEACE & LOVE(ピース アンド ラブ)」を徹底する
・専門家の判断を仰ぎ、無理なプレー再開は避ける
・予防のために日頃から柔軟性と動作パターンを整える
体の小さな部分のケガでも、放置せず、早めの対処を行うことで、選手生命や将来のパフォーマンスを守ることができます。
